2006年から書き続けているネガポジ変換型社長コラム(2026年8月5日) 保険という仕事の「真価」は、一体どこにあるのだろうか。目先の成果を追うことでも、その場で顧客の機嫌を取ることでもない。私が辿り着いた定義は、非常に明快で、同時に深く重いものだ。保険の仕事の本質とは、「未来の他人」を考えることに他ならない。私は、日々向き合う思考の対象を「時間(今/未来)」と「対象(自分/他人)」という2軸で切り分け、4つの領域、いわば「4人の登場人物」として整理している。目先の売上や評価を気にする「今の自分」、長期的なキャリアや生活を見据える「将来の自分」、目の前にいるお客さまの今の気分や満足を優先する「今の他人」、そして、将来のお客さまやそのご家族の姿である「未来の他人」だ。日々の業務の中で、最初の3人に目を向けるのは難しくない。成果のために「今の自分」を優先したり、波風を立てないために「今の他人」の心地よさを優先したりすることは、気を抜くと誰もが陥りがちな選択である。しかし、この4人の中で最も向き合うのが難しく、だからこそ本質的な価値を持つのが「未来の他人」にほかならない。なぜなら、「未来の他人」を守るための提案は、時に「今の他人」を不快にさせるリスクを伴うからだ。万が一の病気や事故、生活の破綻といった直視したくない現実を突きつけ、耳の痛い言葉を伝えなければならない場面もある。「そこまで言われたくない」「今日は気分が下がった」と嫌がられ、最悪の場合は契約を逃すかもしれない。嫌われるリスクと背中合わせだからこそ、「未来の他人」に目を向けるには強い覚悟が求められる。業界に時に見受けられる、短期的な利益のために不利益な商品を売りつけるような「だまして儲ける」体質に対し、私は強い拒否感を抱いている。自分は絶対にそれをしたくないし、誰かにさせたくもない。目先の営業成績やその場の円満な空気だけに逃げるのは、表面上は親切に見えても、本当の意味でお客さまに向き合っているとは言えないのだ。本当の誠実さとは、たとえ「今の相手」に一時的に嫌がられたとしても、10年後、20年後に「あのとき伝えてくれて本当によかった」と「未来の他人」が救われる選択肢を提示することである。もちろん、他の3人をすべてゼロにするわけではない。自身の仕事としての成り立ちや、目の前の対話も大切であり、4つの領域のバランスを保つことは前提である。しかし、意思決定の決定的な軸足だけは、決して「未来の他人」からぶらしたくないと考えている。「今は気分が下がっても、未来の他人が助かる提案をする」。その場限りの妥協を排し、まだ見ぬ未来の幸せのために責任とリスクを引き受ける。その姿勢にこそ、保険という仕事の本当の誇りと醍醐味が宿っていると、私は信じている。 バックナンバー 【 2026年記事 】 2026年8月 2026年7月 2026年6月 2026年5月 2026年4月 2026年3月 2026年2月 2026年1月 【 2025年記事 】 2025年12月 2025年11月 2025年10月 2025年9月 2025年8月 2025年7月 2025年6月 2025年5月 2025年4月 2025年3月 2025年2月 2025年1月 【 2024年記事 】 2024年12月 2024年11月 2024年10月 2024年9月 2024年8月 2024年7月 2024年6月 2024年5月28日特別編 2024年5月 2024年4月 2024年3月 2024年2月 2024年1月 【 2023年記事 】 2023年12月 2023年11月 2023年10月 2023年9月 2023年8月 2023年7月 2023年6月 2023年5月 2023年4月 2023年3月 2023年2月 2023年1月 【 2022年記事 】 2022年12月 2022年11月 2022年10月 2022年9月 2022年8月 2022年7月 2022年6月 2022年5月 2022年4月 2022年3月 2022年2月 2022年1月 【 2021年記事 】 2021年12月 2021年11月 2021年10月 2021年9月 2021年8月 2021年7月 2021年6月 2021年5月 2021年4月 2021年3月 2021年2月 2021年1月 【 2020年記事 】 2020年12月 2020年11月 2020年10月 2020年9月 2020年8月 2020年7月 2020年6月 2020年5月 2020年4月 2020年3月 2020年2月 2020年1月 【 2019年記事 】 2019年12月 2019年11月 2019年10月 2019年9月 2019年8月 2019年7月 2019年6月 2019年5月 2019年4月 2019年3月 2019年2月 2019年1月 【 2018年記事 】 2018年12月 2018年11月 2018年10月 2018年9月 2018年8月 2018年7月 2018年6月 2018年5月 2018年4月 2018年3月 2006年7月~2018年2月(ほけん工房ページへ移動します)